【後編】コウケンテツさんと
男性の子育てや家事参加を考える
料理教室&座談会イベント

2024.03.13

DM三井製糖(株)サステナビリティ推進室では、男性の育休取得率向上施策の一環として料理研究家のコウケンテツさんを講師に迎え、「男性の子育てや家事参加の促進」イベントを開催。第一部の料理教室でコウさんからお手軽家庭料理を学んだ後、家事分担についての座談会を実施しました。参加した14名の男性社員が日々料理することの大変さやリアルな家事分担事情と向き合いながら、各家庭での家事のあり方を振り返る良い時間となりました。実際にご家庭で家事育児を担当しているコウさんのお話を中心に、座談会の模様をご紹介します。

第二部・座談会  コウさんから学ぶ家事参加の大切さ

「明日から1週間料理を作ってください」と言われたら、どうしますか?

家事分担には正解も間違いもなく、各ご家庭それぞれのスタイルでいいと思うんです。でも日本の場合、料理分野は女性が担っているケースが多いように感じます。一時期よく言われていたワンオペレーションは、夫婦間、家族間だけでない、社会問題だと思っています。

では料理って何が大変なのでしょう? 事前アンケートでは「献立が思いつかない」「献立のパターンが少ない」とありました。1週間を見越してメニュー考案するとなると、もっと難しい。料理担当の方はまず在庫をチェックします。冷蔵庫にどんな食材があり、調味料は切らしていないか把握し、買い出しに出かけます。家計が大事ですから、懐具合も考えながら数日分を購入し、帰宅したら収納する。いざ料理となったら、洗濯物をたたんだり宅配便を受け取ったりとマルチタスク。ようやく完成しても「今日これだけ?」と家族に文句を言われることも。料理づくりってすごく大変なんです。

 

みなさんは献立をどのように決めていますか?

Aさん:今、妻が育休中なので土日だけ作っています。冷蔵庫に何があるかを見て、献立を決めています。

Bさん:妻から野菜を使った副菜を必ず一品作るように言われていて、週末に2〜3日分を作り置きしています。共働き世帯なので、家事はできる方がやっています。

若い世代の方に家事分担について尋ねると、互いに強制せず気づいた方がやればいいんじゃない?という意見が多いです。これはスマートなようですが、家事の盲点なんです。互いに得意不得意がある中、気づいた人がやるとなると、気づかない人は一生やりませんから。仕事柄、世界中の様々なご家庭に取材に行くんですが、排水溝をはじめ水回りの掃除をお父さんが担っているおうちって夫婦円満という僕のデータがあります。ぜひみなさんも取り入れてみてください。

レパートリーの数も悩ましいですよね。日本では3日連続で肉じゃがが出ることはまずないでしょうが、煮込み料理が多いヨーロッパ家庭では4〜5日かけて食べるのが当たり前だったりします。思えば、日本はイタリアン、中華、インド料理、韓国料理と世界中の料理が食卓に上がる稀有な国。世界から見たら毎日違う料理が食卓に並ぶこと自体すごいことですし、僕はメイン料理3つのローテーションでもいいと思うんです。ときにはスーパーの惣菜やミールキットを活用するのもレパートリーの一つと捉え、食べる側も作る側もハードルを下げたら気持ちが楽になるんじゃないかなと思います。

 

家庭で発生する家事を100%としたら、みなさんは何%担っていますか?

企業的特性もあると思いますが、家事分担のアンケート結果を見ると家事を両立されている方が多いですね。独身の方は100%だと思いますが、0%の方も興味深いところです。

Cさん:妻が専業主婦で手伝っても邪魔になるようで、今は甘えている状態です。

Dさん:結婚当初は努力したのですが、僕のやり方が気にそぐわないようで離脱しました。

Eさん:共働き世帯で、家事は僕が100%やっています。徐々に役割分担できたらと思っていますが、話し合いには至っていません。

Fさん:私は結婚前に分担を話し合い、食器洗いは私、洗濯は妻です。料理は早く帰った方がやっています。

Gさん:僕は家事分担についてあらたまって話し合ったことはないですね。

Aさん:うちも話し合っていません。妻から不満を言われたら話し合おうかなと、先延ばしにしている感じです。

みなさん、本音で語っていただきありがとうございます。僕は仕事でいろんなご家庭に接していますが、家事分担しながらも、どこかで女性にやってほしいという思いがあるように感じています。みなさんと同様に「なんとなく」「自然な流れで」家事分担されているご家庭で話を聞くと、パートナーに対して何かしらの不満があることも多いです。とはいえ、あらたまって「家事分担について話さない?」というのはやりづらいですよね。

我が家では夫婦だけの「お茶の時間」を仕事のスケジュールに組み込んで、話し合う機会を設けています。ネーミングから素敵な時間を想像しますが、その実、子どもの教育方針から家事分担まで夫婦で擦り合わせる時間です。家事と子育ても仕事として捉えると、男性ならではの視点で効率的に対応できるように思います。「お茶の時間」は、ぜひスイーツをお供にしてください。糖分の持つリラックス効果がありますから、ご家族と話し合いにもスイーツがおすすめです。

 本日参加されたみなさんは日々の料理がいかに大変かを理解されたことと思います。みなさんからパートナーの方へ感謝の言葉を伝えてください。互いの「ありがとう」のひと言が家事分担を円滑にしてくれます。

 

 

コウケンテツ
大阪府出身。料理研究家。素材の味を生かしたヘルシーなメニューに定評がある。現在は雑誌や本、テレビ、YouTube、イベントなど多方面で活躍中。一男二女のパパでもあり、自身の経験をもとに親子の食育、男性の家事育児参加、食を通してのコミュニケーションを広げる活動にも尽力。2009年よりDM三井製糖サイトにて砂糖を使ったオリジナルレシピを公開している。