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金平糖とキャンディの違いとは? 砂糖の「結晶」と「ガラス化」のひみつ

2026.03.16

健康・学び

金平糖は砂糖の結晶を何層にも重ねて作られる糖衣菓子

金平糖はなぜ長持ちする?その理由は砂糖の「結晶構造」

実は金平糖は、一般的なキャンディとはまったく違う製法で作られています。金平糖の主成分は、砂糖の中でも純度の高いショ糖です。製法はとても特徴的で、けしの実やザラメなどの小さな粒を「芯(センター)」にし、そこに砂糖のシロップをかけて乾かす工程を何度も繰り返します。このように芯の表面に砂糖の層を重ねていく製法を「糖衣(コーティング)」と呼びます。粒ガム、チョコレート、ナッツ、医薬品など、糖衣された製品はたくさんありますが、金平糖の特徴は、製品の大部分が糖衣であるということです。

芯となる粒に砂糖の結晶を重ねていく製法

⚫︎なぜ保存性が高いの?

・ショ糖は純度が高く、分子が規則正しく並んでいる隙間の少ない“結晶構造”
ショ糖は、分子が一定の規則に従って整然と並ぶことで「結晶」をつくる性質を持っています。
この結晶構造では、分子同士が安定した配置で密に並ぶため、内部に余分な隙間がほとんどありません。金平糖は、砂糖のシロップが少しずつ乾燥しながらこの結晶を形成し、それが層となって積み重なることでできています。長い時間をかけて結晶が何層にも重なり合うことで、あの独特の形とカリッとした食感が生まれます。金平糖は、砂糖の「結晶になりやすい性質」をそのまま活かして作られたお菓子なのです。

・水分を含みにくく、変質しにくい
ショ糖の結晶は構造がとても安定しているため、水分を取り込みにくいという特徴があります。水分が少ない環境では微生物も増えにくいため、食品は傷みにくくなります。このような性質が、ほぼショ糖の結晶である金平糖の高い保存性につながっています。

(豆知識)氷砂糖と同じような安定性があり、乾パンと一緒に入っているほど長期保存向き
同じ結晶構造である氷砂糖と金平糖は、その保存性の高さから、非常食として知られる乾パンの缶に一緒に入っていることもあります。
長期間保存できる金平糖は、防災リュックに加えておくと、いざという時のエネルギー補給に役立ってくれる心強い味方です。


一方キャンディは「ガラスのように固まった砂糖菓子」

キャンディの主成分は”砂糖と水あめ”です。
砂糖、水あめ、水や香料を煮溶かし、水分を飛ばして急速に固める製法で作られています。

これは、分子が不規則に並ぶ「ガラス化」と呼ばれる状態です。
一般的なキャンディは、結晶化しやすい糖(砂糖)と、結晶化しにくい糖(水あめ)が主原料として使われ、キャンディとして安定する配合になっています。それらを配合した砂糖液を、高温まで煮詰めたあと急速に冷やして固めます。
このとき砂糖の分子はバラバラの状態のまま固まります。これが「ガラス化」と呼ばれる状態です。分子の並び方がガラスの構造とよく似ており、キャンディは透明でツルツルした見た目になります。この状態は結晶構造に比べて不安定なため、湿気を吸うとすぐに分子が動き出し、ベタついたり、後から白く結晶化(シャリシャリになる)したりします。

ここで、金平糖とキャンディの違いを整理してみましょう。


ショ糖、水あめ、ガラス化って何?


■ ショ糖
砂糖の主成分のこと。サトウキビや甜菜(てんさい)から抽出される天然の甘味成分です。
不純物が少なく純度が高いほど、分子がきれいに並んで「結晶」になりやすい性質を持っています。
糖の種類により、結晶化のしやすさはさまざまです。
結晶化しやすい糖(砂糖、パラチノース、シュガーレス甘味料では、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなど)
結晶化しにくい糖(水あめ、シュガーレス甘味料では、還元麦芽糖水あめ)

■ 水あめ
とうもろこし、米、さつまいもなどのでんぷんを分解してつくられる粘り気がある液体の糖質です。
主成分はブドウ糖や麦芽糖などで、結晶化しにくい(固まらない)性質です。

■ ガラス化(非晶質)
液体を急激に冷やした際、結晶にならずに「バラバラな分子配置のまま固まる」現象のこと。結晶構造を持つ素材は、結晶の界面で光が乱反射するため不透明(白色)に見えますが、非晶質はこの界面を持たないため透明を維持します。


金平糖はポルトガルからやってきた

17世紀 南蛮貿易から始まった長崎のその後の発展

ポルトガルから伝わった「Confeito」
金平糖のルーツは、16世紀にポルトガルから日本へ伝わった南蛮菓子「コンフェイト(confeito)」といわれています。
これは砂糖でコーティングした菓子、つまり糖衣菓子の一種です。
室町時代末から江戸時代にかけて、日本には西洋や中国との貿易によってさまざまな文化がもたらされました。貿易の窓口だった長崎から小倉へ続く長崎街道沿いには、砂糖や南蛮菓子が広がります。同時に伝わった南蛮菓子では、カステラも有名です。この街道は現在「シュガーロード」とも呼ばれ、砂糖や菓子の文化が発展した歴史を今に伝えています。

当時の日本では砂糖はまだ非常に貴重な存在で、一般の人が日常的に口にできるものではありませんでした。
そんな時代に伝わった甘い南蛮菓子は多くの人々の関心を集めました。

皇室や貴族の祝い菓子として広まる
江戸時代になると、金平糖は貴重な砂糖を使った菓子として製法が磨かれ、現在のような華やかな色とトゲがあるものへ進化しました。
小さく可愛らしい粒が集まった姿は縁起がよいとされ、大名や貴族の間で贈り物として扱われるようになります。
こうした伝統は現在にも受け継がれています。2005年には、黒田清子さん(紀宮さま)のご結婚の際にも、祝い菓子として金平糖が贈られました。
海外から伝わった金平糖は、日本で独自に発展し、祝い事の菓子としても親しまれる存在になっています。


まとめ

金平糖は砂糖の結晶を何層にも重ねて作る糖衣菓子。一方キャンディは、砂糖をガラス状に固めた砂糖菓子です。
同じ砂糖から作られるお菓子でも、作り方や構造によって特徴は大きく変わり、食感や保存性の違いにつながっています。
このように、砂糖は甘味をつけるだけでなく食品の構造をつくる重要な素材でもあります。
身近なお菓子である金平糖やキャンディの中には、砂糖の科学と長い歴史が詰まっています。

 

砂糖の意外な役割を紹介するシリーズ【砂糖のホント】。他の記事もぜひご覧ください▼
砂糖のホント01
砂糖のホント02
砂糖のホント03

*監修:DM三井製糖株式会社
*参考文献:「製菓事典」朝倉書店/「ドラジェ(糖衣掛菓子)の秘密」光琳/「砂糖類情報1999年12月」農畜産業振興機構
*パイン株式会社
*出典:国立公文書館 所蔵「肥之前州長崎図」


 

 

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