〜知っておきたい調理のコツ〜 砂糖が引き出すほうれん草のおいしさ
2026.02.27
健康・学び
2026.02.27
健康・学び
砂糖の意外な役割を紹介するシリーズ【砂糖のホント03】。第3回は『ほうれん草と砂糖水』についてです。
冬に旬を迎える緑黄色野菜の王様、ほうれん草。ゆでても、煮ても、さまざまな食材と相性がよく、新生活で自炊を始めた方にも取り入れやすい、使い勝手のよい野菜です。風邪予防にも効果があるとされるβカロテンをはじめ、鉄分や各種ビタミン、妊娠期に欠かせない葉酸など豊富な栄養が含まれています。そんなほうれん草を、よりおいしく、食べやすくするちょっとした裏技があることをご存じでしょうか。

ほうれん草を食べた時、口や喉がイガイガしたり、苦味、えぐみを感じたことはありますか?
実はそれ、ほうれん草に多く含まれるアク、主に「シュウ酸」と呼ばれる成分が原因です。「シュウ酸」はカルシウムと結びつきやすい性質があり、摂りすぎると体内で結石の原因になることもありますが、通常の食事量であれば過度に心配する必要はありません。また、水に溶けやすいため、さっと下ゆですることでえぐみがやわらぎ、食べやすくなります。一般的には、色止め効果のある塩水でゆでる方法が知られていますが、もう一段おいしく仕上がる方法を、料理科学の観点から紹介します。ほうれん草のおいしさを引き出すゆで方、それは「砂糖を使用すること」です。
同じ条件のほうれん草を使い、ゆで液の違いによる変化を検証しました。
今回比較したのは、次の4種類です。
①何も入れないお湯
②砂糖水0.5%
③砂糖水1%
④食塩水0.5%
それぞれの仕上がりや味の違いを比較しました。
(ゆで方)
水1リットルを沸騰させ、各条件に応じた調味料を加えます。
沸騰したら、ほうれん草50gを入れて1分間ゆで、取り出して30秒間冷水にさらし、水気を絞ります。

実際試食してみると、お湯だけでゆでたものに比べ砂糖や塩を加えてゆでたほうれん草は、
・えぐみが抑えられている
・口当たりがやわらかい
・食感が良い
といった官能評価の結果となりました。

非常に強い(+3) かなり強い(+2) やや強い(+1) DM三井製糖社内よる官能評価
砂糖と塩では同じくらいのえぐみ低減効果があり、砂糖は多く加えた方がより高いえぐみ低減効果が認められました。また砂糖10 gを加えても、ほうれん草自体に砂糖の甘味は移行しておらず、「甘くなっていない」「むしろ食べやすい」といった評価が多数得られました。

一般に、甘味は苦味をやわらげる作用があるとされています。
砂糖を加えることで、ゆで汁とほうれん草の細胞内の水分バランスがゆるやかになります。それにより野菜の細胞が壊れにくく、食感が保たれやすくなります。
うま味成分がゆで汁に流れ出にくくなるため、味が整いやすくなります。

砂糖を加えても、ほうれん草に含まれるアク(シュウ酸)の量そのものが減るわけではありません。しかし、ゆで水に少量の砂糖を加えることで、えぐみがやわらぎ、みずみずしくやさしい口当たりに仕上がることが確認できました。
砂糖は甘味をつけるだけでなく、素材の持ち味を引き立て、食感や味わいを整える働きも持っています。毎日の料理のひと工夫として、ぜひ取り入れてみてください。
DM三井製糖社内 監修