【砂糖のホント 02】
チョコレートと砂糖の深い関係
2026.01.26
健康・学び
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今ではスイーツの代表として人々に親しまれる存在ですが、実はチョコレートのはじまりは「食べるもの」ではなく「飲むもの」でした。

メキシコ xocolatl(チョコラトル)
古代メキシコでは、カカオは唐辛子やスパイスと混ぜられ、苦くて刺激の強い飲みものとして飲まれていました。
「一杯で一日中歩ける」と言われるほど、エネルギー源、疲労回復飲料として重宝されており、王族などの特権階級、戦士だけが口にすることが出来たそうです。
ただしこれは口当たりが悪く、脂肪分がギラギラと浮いた非常に消化の悪いもので、今のような、なめらかで甘い味わいとは、かけ離れていました。
19世紀になると、オランダ人のバン・ホーテンがカカオ豆の脂肪分を調整する技術を開発。これにより、カカオマスやココアが誕生します。
その後イギリスのフライ社が、カカオマス・カカオバター・砂糖を組み合わせることで、甘くて口どけのよい「食べるチョコレート」を完成させました。
そのおいしさと口どけの良さで、「食べるチョコレート」は世界中に広がりました。

次は製造工程を追って、おいしさの裏側をのぞいてみましょう。

カカオマス、カカオバター、砂糖、粉乳などの原料を混ぜ合わせます。
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原料の混合後、「リファイナー」と呼ばれるローラーマシンで平均5µmほどのとても細かな粒子にすりつぶされます。
一般的なグラニュ糖は、粒径およそ200~600µm、粉砂糖の粒径が30~40µm程度なので、かなり細かい状態です。
この粒子の細かさが、チョコレートの口どけを大きく左右します。
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続いて「コンチング(精練)」という工程に移ります。これはスイス人のリンツにより開発されました。
サラサラのフレーク状になった原料を強力に撹拌しながら練ることで空気が抜け、
徐々に液状になり、細かい砂糖粒子の一つひとつが油脂の層で包み込まれます。
油脂が体温に近い温度で溶けることで粒子がなめらかに動き、あの心地よい口どけと舌触りが生まれるのです。
砂糖は甘さを加えるだけでなく、チョコレートのなめらかな食感を支える重要な役割を担っているのです。
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テンパリングとは、カカオバターに含まれる油脂の結晶を最も安定した状態に整える作業です。
溶解、冷却、再加熱と的確に温度調整を加えることにより、
「美しい光沢」「パキッと割れる小気味よい食感」「なめらかな口どけ」が実現します。
温度はチョコレートの種類で数度変わるため、正確な調整が求められます。
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皆さんも一度は、表面が白っぽくなってしまったチョコレートを見たことがあるのではないでしょうか。
チョコレートは、実はとてもデリケート。特に苦手なのが、急な温度変化です。
高温で溶けたあとに冷えると、脂肪分が白く結晶化して表面に現れることがあります。これを「ファットブルーム」といい、口どけが悪くなってしまいます。一方、冷蔵庫から出してすぐ暖かい場所に置くと、チョコレートの表面に空気中の水分が付き、そこに砂糖が溶け出します。水分が乾き、砂糖が再び結晶化すると、「シュガーブルーム」という表面がざらつく状態になります。
どちらも食べられなくなるわけではありませんが、チョコレート本来のおいしさを楽しむためには、温度変化の少ない場所での保存がおすすめです。
チョコレートのおいしさは、「ほどよい甘さ」と「豊かな香り」、「なめらかな舌触り」のバランスにあります。
砂糖は、甘さを加えるだけでなく、食感や口どけを整え、チョコレートの魅力を引き出している影の立役者なのです。
次にチョコレートを口にするときは、そんな“砂糖の仕事”にも、少し思いを巡らせてみてください。
※参考文献「チョコレートの事典」発行所:成美堂出版株式会社/「Choco lat et Cacao テオブロマ 土屋公二のチョコレート」発行所:ネコ・バブリッシング/日本チョコレート・ココア協会 http://www.chocolate-cocoa.comidictionary
※画像はイメージです
