━ 適糖タイムズ ━

【前編】コウケンテツさん × 西村一弘教授
幸せのちからになる“適糖生活”トークショー

2025.12.16

適糖ライフ特集

カロリーオフやロカボと、食生活で糖質を控える風潮がありますがそれは本当に健康を維持していく上で正しいことなのでしょうか? 糖は、体全体を動かすために欠かせないエネルギー源です。
「糖の本来の役割や魅力を正しく知ってもらいたい」そんな思いから、栄養と健康の専門家である西村一弘先生と料理研究家のコウケンテツさんがタッグを組んで11月は東京、そして12月は福岡でトークショーを開催しました!抽選のもと500名が参加したイベントの模様を前後編でお届けします。
二人のスペシャリストによる〈糖についての正しい知識〉と〈糖の上手な活用法〉を、より健康的な食生活にお役立てください。


現代のニッポン人の健康状況は? そして近未来の課題とは?

西村一弘先生

現在、日本は少子化、超高齢化社会が一気に来ています。15〜64歳の就労世代が高齢者を支える割合をグラフで見たとき、昭和では10人以上で一人を支えた“おみこし”状態でした。それが平成は3人で一人を支える騎馬戦状態となり、令和の今、1.4〜1.5人で一人の高齢者を支えています。現在20〜30代の人たちの上に高齢者を肩車するような状態では、若い世代が潰れてしまいます。だからこそ、今40、50代の人たちは自分の足で立っていられることが大きな課題です。
そこで覚えていただきたい言葉が、カタカナ4文字「フレイル」。70代を見たとき、要支援・要介護になる人と元気な人と、その中間にいるのがフレイルの人です。40〜50代の人は、「大丈夫、自分は元気だ」と思っているかもしれませんが、これからの過ごし方次第ではフレイルになる可能性があります。太ると身体に悪い印象がありますが、65〜79歳では痩せたほうが死亡率が上がります。40〜50代での太りすぎはよくないですが、60〜70代は痩せないように気をつけることが大事です。太りすぎず、痩せすぎず、元気シニアを目指してほしいと思います。


コウケンテツさん

私は世界中をめぐり、家庭料理を教わることを15年以上やっています。あるとき、健康長寿の有名なギリシャのイカリヤ島へ取材に行きました。我々の到着したのは深夜でしたが、町中には煌々と電灯がともり、シニア世代が集うバーでは80、90代の方が明け方までワイワイお酒を飲んでいるんです。「レガシー世代」と呼ばれていますが、みなお元気です。

健康長寿の秘訣は、まず昼寝。そして運動。港のすぐそばから山になったアップダウンの激しい地形で、エレベーターもエスカレーターもありません。みなさんよく歩き、農作業にも励まれ、運動量がすごく多い。また、人間関係、家族関係はゆるやかです。私が一番、感銘を受けたのは、誰もが生きがいを持っていること。バーで夜な夜なバイオリンを弾いている方にお年を尋ねると、「90歳」と。驚いたのは、60歳を過ぎてからバイオリンを始めたそうです。
今は人生110年時代。レガシー世代のみなさんがおっしゃっていました。「何歳になっても、遅いという言葉はないんだよ」と。60歳すぎてチャレンジする、このメンタリティすごくないですか。イカリヤの方から、それを学ばさせていただきました。元気シニアであるためには心の栄養も大切です。


「糖」は身体と脳に欠かせないエネルギー源。
料理の「糖」は全体を包み込む“調和”の調味料

西村一弘先生

糖質は人間にとって無くてはならないものです。身体のエネルギー源になります。心臓も筋肉ですから、エネルギーがなくなったら止まってしまいます。ですから、どんなときでも絶対に糖は取らなければいけない栄養素です。筋肉を合成するためにも、糖質は不可欠です。
また、脳はブドウ糖というエネルギーを使っていて、ブドウ糖が足りなくなると集中力や思考力が落ちてしまいます。低血糖になると認知症になりやすく、高血糖では悪玉たんぱくを増やしますから、アルツハイマーの原因になると言われています。
糖質を落としてしまうと、たんぱく質や脂質が大きくなり、腎臓や心臓の病気につながることもわかっています。糖質不足は美容にも悪影響が出ます。肌やツメ、髪の毛はたんぱく質でできていますから、それらがボロボロにならないよう、糖質を不足させないことが大切です。糖の正しい知識を持っていただけたらと思います。


コウケンテツさん

私は料理研究家の立場から、お砂糖を上手に使う料理のコツをお話させていただきます。お砂糖=甘味という認識が強いですが、お砂糖=まるみを作る存在。塩味が勝ちすぎると「角が立つ」と表現しますが、その塩味を支え、酸味や苦味をまとめてくれる役割があります。私は、お砂糖は料理全体を包み込む“調和の調味料”だと思っています。カロリーを減らす=料理からお砂糖を除外するイメージがありますが、そうすると塩味が立ち、コクを補うために濃い味付けになりがちに。そこにお砂糖を上手く使うことで、まるみの出たバランスの良い味になります。
たとえば紅白なますやきゅうりの甘酢漬けを作るとき、細切りや輪切りにした野菜に塩もみをされますよね。その後、塩分調整が難しいと感じたことはないですか? 私自身、毎回、塩もみの塩と味付けの塩をレシピ化するのがすごく難しいんです。
そこで、砂糖もみです。私なりのアイデアですが、刻んだ野菜はお砂糖でもんでも余分な水分が出るんです。「砂糖もみ野菜とさばのしょうが南蛮(YouTube)」は、野菜の食感がいいのと、塩味を調整しやすくなるというポイントがあります。「砂糖もみ」、ぜひ覚えてほしいワザの一つです。


東京会場の様子


福岡会場の様子

【後編】へ続く

 

コウケンテツ
料理研究家。
大阪出身。旬の素材を生かした手軽でおいしい家庭料理を提案し、テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍中。30か国以上の国を旅して世界の家庭料理を学ぶ。
3児の父親としての経験をもとに、親子の食育、男性の家事・育児参加、食を通してのコミュニケーションを広げる活動にも力を入れている。
YouTube「Kohkentetsu kitchen」は登録者数222万人以上の人気チャンネル。
https://www.youtube.com/@kohkentetsukitchen
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